わたしは、唱える

美は常にわたしのなかにあり
生み出されるというよりは
思い出されるもの
それはたぶん遠い記憶のどこかで、
誰かに教わったことの一つだ

あの月と同じ
彼女の瞳
金色に煌めく円い世界に
眠る記憶が映し出される

あかるい時間には、
すっかり忘れてしまっていたすべてのこと

その柔らかな毛並みやヒゲや
しなやかなしっぽに触れながら
わたしはゆっくりと唱える
だれにも侵されない

鏡が砕けて星になる
揺れるキャンドルの灯り
それを映すカーテンの影
誰かの詩
わたしの心を強くするものたち
とても強く  どこまでも孤独に

冷たい指先で円く描いた金色の世界
それは拒絶や防壁のためなどではなく、
わたしはなにかに怯えているわけでもない

今ここに立って、刻む
深くつながるための
確かな、優しいしるし

思い出して
わたしたちはそれぞれに孤独で
それぞれに愛を学び
それぞれの美を守って
また今夜も
いつか思い出される記憶のひとひらなのだ