STUDIO FIVE

彼女は、愛する

かつてたくさんの優しく親しい人たちは、
わたしにおとぎ話を聞かせてくれた。

やわらかく揺れる水面に、
雲の切れ間から光の筋がのびていく。
わたしはその光が、海の底へと届くのを想像する。

すべてがここにあり、かがやいている。
それは宝石のように曖昧なものではなく、
朝陽のように喜びに満ちた確かなもの。

わたしはかすかに震えていて、
もう手には収まらなくなった愛を
解き放とうとしている。
そして、ドレスを脱ぎ捨て、疾駆する。

わたしはここにいます

オリーブの葉の水滴が太陽に温められ
消えていくのを、祈るように見つめている。
その形、その色、その瞬間…。
この世界に転がるいくつもの悲しみ。
その断片が打ち砕かれ、風に舞っていく。
海鳥が、祝福の合図のように高く鳴いた。

終わることのないおとぎ話。

すべてが消え去っても、だれもいなくなっても、
問うものがなにもなくなっても、
わたしはここにいる。
あの木陰に、揺れかがやく水面に、花の香りに、
暖炉ではぜる明るい火花に。
光の中に、あなたの中に。
わたしはそっと魂を宿し続ける。